背景
依頼者は、当初、共同相続人である兄弟と遺産分割の交渉を行っていましたが、途中で話が進まなくなってしまったことから、弁護士に相談に来られました。
依頼者は、被相続人である親が亡くなるまでの間、長期に渡り、介助を要する親と同居して、身の回りの世話をしていました。そのため、遺産分割の際にはこのような事情を考慮してもらい、他の兄弟より多めに遺産を取得したいという希望を持っていました。
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、上記のような依頼者の希望を伝えましたが、他の相続人は、法定相続分にしたがって分割をしたいという意向でした。
依頼者が高齢の被相続人の世話を長期間行っており、被相続人の遺産について特別の寄与が認められる可能性があったことから、当方としては、寄与分について計算をして主張することを示唆しました。被相続人の世話が寄与分として認められるか否かは難しい点もありますが、相手方は、依頼者の働きを考慮し、依頼者が法定相続分より多く遺産を取得する形での遺産分割を行うことに任意に合意し、依頼者が希望していた内容で調停を成立させることが出来ました。
弁護士からの一言
本件は、依頼者の被相続人に対する介助は、法律で認められた寄与分として構成できることを示唆したことが、相手方の譲歩を引き出すことに繋がりました。相手方は、当初、依頼者による被相続人の介助については考慮しないという姿勢であり、当事者同士の交渉では、相手方の譲歩を引き出すのは難しかったと思われます。
民法には、遺産分割の方法について、いろいろなルールが定められています。思うように遺産分割協議を進められない場合には、一度弁護士に相談することをお勧めします。