相続した建物に親族が無償で住んでいたが、使用貸借契約の終了を主張し、明け渡しを受けることが出来た事例

背景

依頼者は、相続により取得した建物に無償で住んでいる親族に、建物を明け渡して欲しいということで相談に来られました。
建物の借主である親族は、先代から、当該建物を無償で使用することを認められていました。しかし、借主の背信行為により、先代が亡くなる以前から、先代が無償使用を許した前提条件がなくなっている状態でした。
依頼者は、何度か借主と話し合いをしようと試みたものの、応じて貰えないということでした。話し合いでの解決は困難と思われたため、既に使用目的が完了しており、使用貸借契約は終了したと主張して、建物の明け渡しを求める訴訟を提起しました。
判決では、既に借主による建物使用の目的が完了したと認められ、借主に建物を明け渡すよう命じられました。
判決確定後、任意の明け渡しを求めましたが、借主が応じなかったため、強制執行の手続を執ることとなりましたが、最終的に、依頼者の希望どおり、建物の明け渡しを受けることが出来ました。

弁護士からの一言

土地や建物を親族などに無償で貸している場合、契約書などを作っていなくても、法律上は、使用貸借契約が存在していることになります。使用貸借契約の場合、借地借家法という借主を強く保護する法律の適用はありませんが、かといって簡単に明け渡しを求められるものでもありません。民法上の契約終了原因があるかどうか、契約の解除原因があるかどうか等を検討して、主張を構成する必要があります。
本件では、使用貸借契約の前提条件がなくなっていたことから、使用貸借の目的である事業を行っていないのであるから、契約の目的を完了したという法律構成をし、裁判所でもこの主張が認められました。
無償で借りている人に明け渡しを求めたいという場合には、明け渡しを求めることが法的に可能かどうか、一度弁護士にご相談下さい。

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