遺産分割の話し合いを拒絶する相続人がいたが、裁判所の手続をとり、遺産分割をすることができた事例

背景

依頼者は、当初、裁判所の手続によらずに、遺産分割の交渉を行おうとしていました。しかし、共同相続人の中に、遺産分割協議の連絡をしても全く反応がない人がいたことから、交渉を進めることが出来ず、当事務所に相談に来られました。

弁護士名で連絡をしてみましたが、その方からは返事をもらうことが出来ませんでした。そのため、応答のない共同相続人を相手方として、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。しかし、相手方は、調停の期日にも一度も出席しなかったため、調停を続行することは出来ないとして、調停は終了し、審判へと手続が移行しました。

相手方は、審判期日にも出席しませんでしたが、相手方が欠席のまま手続は進行し、最終的に、依頼者が相手方に対し、法定相続分にしたがった代償金を支払うことで、遺産分割をすることが出来ました。

弁護士からの一言

出来ることなら裁判所の手続を利用せずに遺産分割を行うことを希望する方は多いかと思います。
ところが、相続人の中に、話し合いを拒んでいる人がいる場合には、いつまで経っても遺産分割が出来ないままになってしまいます。当事者間の話し合いに応じない人でも、裁判所からの呼び出しであれば応じ、話し合いの場を設けることができることはよくあります。話し合いに応じない理由が、分割案に不満があるというケースでは、当事者のみの話し合いでは折り合いがつかなかったものの、裁判所の調停の場で話し合うことで、妥協点を見出せる可能性は高いと言えます。
しかし、かなり昔に亡くなった方の相続や兄弟姉妹の多い方が高齢で亡くなり、しかも、その相続人が兄弟姉妹であるような場合、共同相続人が数多く存在し、そのうちの一部の方がどうしても話し合いに応じない(連絡をくれない。裁判所の手続にも出頭しない。)ということがあります。このような場合には、裁判所の審判手続によって遺産を分けることになります。本件も、相手が分割案に不満だから話し合いに応じないというケースではなく、自分の取り分を主張することもせずに、一切応答してこないというケースでした。このように、裁判所の手続に全く出席しない相続人がいる場合でも、調停、審判と順を追って手続を行えば、遺産分割を行うことは可能です。音信不通の相続人がいて遺産分割が行えないという場合には、裁判所の手続を利用することも視野に入れてみて下さい。

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