背景
依頼者は、かつて裁判上の和解をした事件について、相手方が和解で支払う約束をした金銭を支払わないまま、消滅時効期間が経過しそうであることから、債権を保全したいとして相談に来られました。
相談に来られたのは、消滅時効が完成する1ヶ月程前でした。
初回の相談で、詳細を聴取し、速やかに訴訟の準備を済ませ、初回相談日から約2週間で訴えを提起しました。
訴訟に相手方が出席しなかったことから、依頼者が主張するとおりの判決が確定し、消滅時効にかかることなく、債権を保全することができました。
弁護士からの一言
債権は、法律が定める期間が経過すると消滅してしまいます。一般的な債権の消滅時効期間は、10年ですが、請負工事に関する債権は3年、商行為によって生じた債権は5年など、債権の種類によって特別に短期間で消滅してしまうこともあります。
債権を時効によって消滅させないためには、時効を中断する必要があります。時効を中断する事由は、法律に定められており(民法147条)、裁判上の請求も時効中断事由の一つになります。
本件のように、確定判決等で権利の存在が確定されると、時効期間は10年となります。
時効の中断をし、債権を保全しておけば、将来、債務者が財産を取得した際、強制執行の手続を取ることができます。
時効期間が過ぎていないか心配であるという方やまもなく消滅時効が完成しそうであるという方は、早めに弁護士に相談に行かれることをおすすめします。