背景
依頼者は、元従業員から、未払の給料を支払うよう求める訴訟を提起されました。
依頼者は、この元従業員を雇用する際、条件等について口頭で合意をしただけで、雇用契約書等の書面は作成していませんでした。
訴訟では、当事者間で合意された労働条件がどのような内容であったか等が争点になりました。契約書はありませんでしたが、元従業員の勤務実績などの事実関係について、依頼者から細かく聞き出し、主張立証することで、元従業員の請求どおりの未払賃金は発生していないという前提で、裁判所での話し合いを行いました。その結果、請求金額の半額以下で和解を成立させることができました。
弁護士からの一言
多くの中小企業では、従業員との雇用契約について、逐一契約書等を作成せずに、従業員を雇用しているケースがよく見られます。従業員との間でトラブルにならずに済んでいることが多いため、口頭の合意でも問題はないように思えますが、本件のようにトラブルが生じ、訴訟にまで発展すると、どのような条件であったか等を証明する必要が出てきます。この場合に、当事者間の合意内容が書面で残されていないと、立証が困難となってしまいます。
使用者の方には、万が一の場合に備えて、きちんとした契約書を作成しておくことをおすすめします。お気軽にご相談下さい。